メニュー

子どもへの新型コロナワクチン予防接種は、今すぐ延期せよ【緊急提言】

[2022.02.03]

今これだけ地域の子どもたちに感染が蔓延しているのに、予防接種の予定を立てている行政の担当者に怒りすら覚えた。市内の幼稚園、保育園の担当者は、保健所からも市役所からも支援を受けられず園児やその家族の感染対策に必死だ。今、子どもたちの中でオミクロン株が蔓延しており、次々に感染が広がっている。幸いなのは2~3日でみんな元気になることぐらいだ。数日家族は介護が大変になり、もれなく両親も感染する。仕事を休まざるを得ない。

大事なことは、既にコロナに感染した子どもたちへの予防接種について見解がないこと。出したくないのだろう。なぜならば、ワクチンの使用期限が切れて破棄、無駄になるからだ。使いたいから予定通り早く予防接種を始めたいのだ。あくまで大人の事情だ。子どもたちの体のことを考えたとは到底思えない。

ハッキリ言って、埼玉県東南部の保育園、幼稚園、小学校の多くでオミクロン株が爆発的に蔓延している。10歳以下の未接種者は、既に概ね自然免疫を得ている、あるいは3月までに免疫を得るだろう。つまり、既に一度感染したと同じ状態になる。

全国一律で予防接種を進めるのは大きな間違いだ。埼玉県内でも、オミクロン株の感染状況については相当なばらつきがある。あい小児科だけで120人から30人の陽性者が出ているのに、感染者が一桁しか出ていない市町村がある。環境が違うなら予防接種の計画も県内で変えるべきだ。小学校以下で一度でも休校、休園した学校が半分以上を占める市町村は、子どものコロナワクチン接種は見送るなどの対応が必要だ。

無論、予防接種したい子どもたちへの接種の道を閉ざす必要はない。リスクが高い子どもたちは是非予防接種を受けてほしい。そのリスク判断は、小児科医がすべきだ。行政ではない。行政のスケジュールには、医学的な根拠が乏しい。

考えているとは思えないスケジュールを立てたり、ブースター接種の遅れ、年末年始のための予防接種の遅れも、現場の意見を無視した愚策だった。12月に市町村のワクチン担当からブースター接種を早く始めたいと打診したことに対する返事、対応を聞いて愕然とした。完全に人災であり、平等ということを理由に接種を遅らせた責任は知事にある。大野埼玉県知事が可能な限り早く接種して良いと言えば終わった話だ。医師が責任もって早く接種したいということを行政が止めた訳だ。人災だ。

河野元大臣が平等よりスピードだと言ったツイッター投稿がすべてだ。あの時決断して12月から余剰ワクチンを利用したブースター接種をする流れを作れた。特にリスクの高い人たちへの接種に行政が制限を付けなければ結果が違っていた。当初8ヶ月間隔に拘った失策だ。何の根拠もなく短くなった。接種間隔より、感染症の波が来る前に接種を終えることが予防だった訳だが行政が拒否した。思考停止したら犠牲者が増える。テレビを見るより、今そこにある危機的状況に目を向けることだ。医師だけでは行動できない。予防接種の責任は、知事や国だ。

そしてまず、やらなければならないのは感染が確定した子どもたちに対する予防接種は、何ヶ月経過した時点で接種するのが良いという指針を明確にすることだ。感染した日は確定できるので、予防接種をする時期は自動的に決まる。子どもたちにリスクを負わせるならば、国が責任もって指針、方針を明確にすべきだ。テレビの医師のコメントではなく、厚労省の通達が大事だ。テレビのコメンテーターの意見など不要だ。聞いていて不愉快だ。予防接種に関しては、国あるいは知事が責任もって通達すべきであり、遅れたら責任を取ることだ。

感染者の特定は、我々現場の開業医がやるしかない。しかし、予防接種は国直轄の事業だ。感染している地域の子どもたちへの予防接種については、今すぐ指針を出してこれまでに作成したスケジュールは破棄すべきだ。個人的には蔓延地域に暮らす子供たちへの予防接種は夏まで待てるかもしれない。待てばオミクロン株への対応ができるワクチンの接種も視野に入る。大事な子どもたちへの予防接種だ。よく考えてもらいたい。オミクロン株への対応が十分とは言えない古いワクチンをオミクロン株感染が広まった後に予防接種するのか?そもそも重症化率が低い子どもにだ。重症化リスクのある子どもは今すぐ予防接種であることは間違いない。

まるクリニックは、3月からの八潮市の子どもへの予防接種事業を断った。保育園も幼稚園も小学校もオミクロン株だらけでほぼ全員が今まさに暴露され頑張って免疫を得る作業をしている。だいたい新型インフルエンザが猛威を振るっている最終にワクチンの話をしたら笑われるだろう。

今やるべきことは、健康な子どもへの予防接種予約ではない。

良識的な指針が出ることを望む

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME